遠隔医療で北海道の医療環境は整うか

遠隔医療で北海道の医療環境は整うか

北海道では専門医不足や医師の偏在化が深刻な問題となっています。土地が広大な分だけ医師の数が足りず、適切な治療を受けられない患者のいる地域も数多くあります。こういった状況から、医療サービスや医療技術水準の地域格差を埋めることが長年の課題でした。これを解決するためにつくられたのが遠隔医療システム。1994年に旭川医科大学眼科学講座によってシステム開発が行なわれたこちらにより、関連の病院眼科からリアルタイムで送られてくる患者の眼球像を見ながら診断や手術をサポートできるようになりました。

1999年には旭川医科大学病院に遠隔医療センターが開設され、眼科以外の診療科でも遠隔医療を実施できる体制が構築されました。その後、安価で高速な通信回線と高精細画像(HDTV)に対応したテレビ会議システムが普及したことをうけ、2005年にはセンター内の全システムをIP化・デジタル化・高精細化したネットワークが再構築されています。ネットワークの拡充とともに遠隔医療の実施件数も増えてきました。さらに、複数の医療機関と同時に交信する多地点カンファレンスや診療科間の連携による遠隔医療も行われています。

手術

そして2007年からは退院後の在宅患者をフォローアップする遠隔在宅医療サービスも始まりました。糖尿病などの生活習慣病は退院直後の食事や栄養管理が大切なのですが、その管理を患者自身に任せた結果、自宅に戻ってから病状が悪化するケースが多かったからです。サービスを希望する患者に在宅支援端末とバイタル測定器一式を貸与し、患者が自宅で測定するバイタルデータを医師・看護師が病院からチェックします。データの数値に急激な変化が見られた場合はテレビ電話機能を使って患者の容体を確認する…というのが基本的な流れです。このサービスを始めたことにより、通院中から退院後の自宅療養中まで切れ目のないサポートが可能になりました。

このように、北海道ではICTを活用した医療サポートが進んでいます。このネットワークは海外にまで広がりを見せていたり、IT企業との協力を進めていたりとどんどん発展しており、今後もますますの進化が期待できます。医師にとっても、医療環境の改善に取り組んでいる今が北海道で働き始めるいいタイミングではないでしょうか。北海道の医師求人紹介などをチェックして新たな環境に飛び込んでみるのもいいかもしれません。